アルバイトでも知っておこう!「扶養家族」、「扶養控除」について

asian businesswoman on white backgroound

「扶養家族」や「扶養控除」という言葉を聞いたことはありませんか?
実はアルバイトをしている人、特に学生のみなさんにとってはとても大事な知識なのです。
今回はアルバイトと「扶養家族」、そして「扶養控除」の関係についてご紹介していきます。

扶養ってなに?

「扶養」には、大きく、税制上の扶養制度と社会保険上の扶養制度があります。今回は、税制上の扶養制度についてご紹介します。
「扶養内」という言葉をよく使われますが、正式には「扶養控除」というもので「納税者と生計を共にする親族を扶養する場合、所得を控除する制度」のことを指します。
簡単に言えば「親族を養うなら、税金が安くなりますよ」という取り決めのことです。
また、扶養を受けている家族を「扶養家族」と言います。

扶養家族の定義

1.配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること
2.納税者と生計を一にしていること
3.年間の合計所得金額が38万円以下であること。 給与のみの所得の場合は給与収入が103万円以下であること
4.納税者が青色申告者の場合、その対象となる扶養親族が事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと、又は納税者が白色申告者の場合、その対象となる扶養親族が事業専従者でないこと

出典:No.1180 扶養控除|所得税|国税庁

要するに、「同じ生計で生活し、所得が一定額以下である家族のこと」を差します。
個人事業主などの場合は少し異なりますが、基本的にはこの認識で大丈夫です。
また、「生計が同じ」というのは一つ屋根の下で生活していることを指すものではありません。
そのため、高校や大学の進学に伴って一人暮らしをしている家族も扶養家族に含まれます。

そして、そんな「扶養家族」にまつわる制度として特に重要なのが「扶養控除」です。

扶養控除ってなに?

扶養控除とは、納税者が扶養している家族や親族がいる場合にその納税額を控除、つまり減額してくれる制度です。
しかし、扶養家族ならば全員に扶養控除が適応されるわけではなく、一定の条件があります。

・16歳以上であること
・他の親族の扶養親族になっていないこと

の二つの条件を満たさなければなりません。
また、配偶者、つまり夫婦の場合は「配偶者控除」といってさらに別の制度が適応されます。

扶養控除とアルバイトの関係

扶養家族の定義のうち、アルバイトと関係が深いのは「3.年間の合計所得金額が38万円以下であること。 給与のみの所得の場合は給与収入が103万円以下であること」という部分です。
つまり、アルバイトなどによって年間103万以上の収入を得ると、扶養家族から外れることになります。そうなった場合、今まで控除されていた税金を扶養者、つまり親が支払うことになります。
扶養から外れることで、学生とその親、両方の負担が大きくなってしまうのです。

しかし、学費や生活費をまかなうためにアルバイトをしなければいけない学生はたくさんいます。そんな、働く学生のために作られたのが「勤労学生控除」です。

扶養控除と勤労学生控除

扶養家族からはずれた場合でも、学生であれば年間収入130万円までは所得税が控除されます。
これが「勤労学生控除」という制度で、専門学校や職業訓練校など、どんな学校の学生でも受けることが出来る制度です。
ただし、控除を受けるためには確定申告をする必要があります。
また、この制度で控除出来る金額は27万円なので、それ以上は納税の義務があります。

何に気を付ければいいの?

自分の収入をしっかりと把握しておくことが大事です。学生バイトを雇っている事業者の中には「これ以上働くと扶養から外れるよ」と教えてくれる場合もあります。
しかし、いくつもバイトを掛け持ちしていたりすると、気がつかないまま収入が年間130万円を超えてしまうこともあります。
しっかりと自分の給与明細を確認して、自分の収入をチェックしておくことが大切です。

 

今回はアルバイトと扶養控除の関係についてご紹介しました。
昨今、扶養控除の制度は、配偶者控除の廃止が検討されているなど、制度改正がなされる可能性があります。
ニュースなどをしっかりチェックしておくことが必要です。

asian businesswoman on white backgroound